みなさんは熱い歴史小説はお好きですか?
私はめちゃめちゃ好きなんですよ。めちゃめちゃ好きなんですよ(大事なので2回言った)
歴史小説の中でも「南北朝時代」を取り上げている有名な作品って少し少なめで、例えば「私本太平記(一)吉川英治」くらいしか知らなかったんですよね。
「もっと歴史に熱い話、よみたいなぁ」
ってときに、私が出会ったのが北方謙三先生なんです。
最初に北方謙三先生に会ったのは、「三国志」からでした。これがマジで熱い。こんなに熱い三国志みたことない、ってくらい熱い。
この三国志は、通常の三国志(といいつつ、ただの横山光輝先生の三国志)とは、違って、
- 劉備がちょっと悪い(っていうか野心満々)
- 関羽とかも悪い気
- 呂布とかめっちゃかっこいい
- 戦闘シーンが小説なのに手に汗握る
みたいな感じで熱いんですよ。
(その熱さは「北方謙三版:水滸伝」という死ぬほど熱い、超長編に続いていくのですが、ここでは話さない)
そんな激熱の北方謙三先生歴史小説にハマった私が、色々探していたら出会ったのが、北方謙三版「南北朝時代」の小説群でした。
南北朝時代に飢えている人は超オススメ。
そんななか、確か第2冊目だと思うんですが(違ったらすみません)、その2冊目を偶然本屋で見つけたらめちゃめちゃハマってしまったという話を書きます。いいですか、熱いですよ。
ということで、今日は北方謙三先生の「破軍の星」を紹介します。
1.時代背景
2.見どころ
3.好きなところ
1.時代背景
この本の主人公は「北畠顕家(これで私は顕家のファンになりました)」なのですが、彼は南朝側の「公家武将」の一人。
※父親は「後の三房」と言われ、南朝側でも最期まで粘り強く戦いつづけ、『神皇正統記』の著者でもある「北畠親房」である。
南朝側は全国に支配の種をまくべく、後醍醐天皇の皇子たちを送り込んだ。
その中の一つに「東北」へ送り込まれたのが「義良親王(後の後村上天皇)」であり、それに供奉したのが「北畠顕家」だった。
東北はまだまだ地生えの武将や、後に離反される足利尊氏側の武将もいる中で、公家武将と下に見られる北畠顕家だったが、なんと自ら先頭に立ち東北を切り従え、兵を強くし、地を治めて富国強兵施策を成功させつつあった。
そんな中、足利尊氏が離反し、南朝政府から「足利尊氏を倒せ」との勅命が来る。あと5年。あと5年あれば盤石になる東北を捨て置き、足利尊氏に戦いを挑みに行くべきか。。。
若干10代の北畠顕家の戦いが始まる。
2.見どころ
なんといっても、北方謙三先生の歴史小説では絶対的に描かれる「熱い戦闘シーン」と、漢たちの熱い想い、セリフ、行動ですね。
公家武将であるにもかかわらず、ここまで気骨あふれる武将は他にいないのではないかという北畠顕家の、しかも頭も良すぎるからこその悲しみ。
そして、何よりもその北畠顕家に期待を寄せ、夢を託し、自分たちの命運や想いを託しつつ、それでも北畠顕家は「朝廷を守ること」を、たくさんの想いを受け止めつつ、選んでしまう。
この、滅びへの美学がまた美しい。散る美しさが、あるのかも知れません。
この中で関係してくるのが「昔から朝廷に、陰ながら使えてきた山の民」の存在なんですけど、これがまたおもしろいんですよね!
これを聞いて思い出すのは、自分は「アンゴルモア 元寇合戦記」なんです。これも、朝廷につかえてきた「影の朝廷の臣下」がでてきます。なんか親近感。
どちらも、中心にあるのは「天皇家への忠誠」と、それは「過去に受けた恩(もしくは血族であるという誇りか?)」があることなのです。
武士は、天皇家をないがしろにし、弓を引く存在である。そんな発想が垣間見えるところに、様々な感情が湧くなぁと。
既得権益を守りたい(それはもしかしたら、自らのよって立つ場所や、誇り、想い、家族、一族かもしれない)という想いと、新しく生まれてきた「武士」への武力的、権威的な恐れ。よって立つべく世界を構成してくれている「天皇家」へのすがりつき、公家と天皇家の近さ。
色々な想いがあったのだろうということも、この小説に深みを増してくれているスパイスだなぁと思います。
3.好きなところ
- 北畠顕家の圧倒的なかっこよさ!
- 普段知ることのなかった南北朝時代の東北の状況(伊達とかでてきて面白い)
- 公家と武士という立場の違い
- 朝廷と独立という2つの道の中での揺れ動き
- 戦闘シーンの圧倒的な快感!!!
「マンガ家芸能プロダクション」まんがたりの代表を勤めつつ、じつはメッチャ歴史が好き。大福組の中ではマンガの案出しや、イベントの企画、ツイッターやホームページの更新などを行っている。経済にもかなりの興味を持っているが、どちらかというとマンガと歴史に比重が強い。